多自由度コロキウム

第四回(12/10)

  • 日時 12/10(金) 13時30分〜

Simulation Approach to Structure and Folding of Proteins

  • 発表者 Prof. Chin-Kun Hu (Academia Sinica, Taiwan)
  • 要旨   In this talk, I briefly review some developments in numerical studies of structure and folding of proteins.
    The topics under discussion include:
    (1) calculation of protein energies by parallel computers ,
    (2) parallel tempering simulations of HP-36 \cite{lhh03},
    (3) calculation of protein volume $V$ and surface area $A$ by analytic equations,
    (4) Go-like model approach to the folding of hbSBD--a protein with 52 amino acides.

第三回(11/04)

  • 日時 11/04(木) 13時30分〜

分数量子ホール効果とは?

  • 発表者 佐々木祥介 (静岡理工科大学)
  • 要旨

分数量子ホール効果は,今まで,分数電荷を持つ複合粒子を基礎として研究されてき た。今回は不自然な分数電荷の概念を使わず,電子の素電荷のみで分数量子ホール効 果を見直し,束縛エネルギーとスピン偏極を求める。
1. 分数量子ホール効果の実験と従来の理論について
2. 分数電荷を使わないで,分数量子ホール効果を説明する理論(束縛エネルギー の計算)
3. 分数状態でのスピン偏極における磁場依存性のカーブには,奇妙なステップが 多数存在する。その原因を明らかにする。

第二回(9/27)

  • 日時 9/27(月) 13時30分〜

Traffic Congestion - An Instability in a Hyperbolic System

  • 発表者 James Greenberg (Associate Director for Mathematical Sciences, CMU)
  • 要旨 In this paper we analyze a class of second order traffic models and show these models support stable oscillatory traveling waves typical of the waves observed on a congested roadway. The basic model has trivial or constant solutions where cars are uniformly spaced and travel at a constant equilibrium velocity that is determined by the car spacing. The stable traveling waves arise because there is an interval of car spacing for which the constant solutions are unstable. These waves consist of a smooth part where both the velocity and spacing between successive cars are increasing functions of a Lagrange mass index. These smooth portions are separated by shock waves that travel at computable negative velocity. 

第一回(6/30)

  • 日時 6/30(水) 15時30分〜

4次元近傍におけるランダム磁場O($N$)スピン模型の相転移 とdimensional reduction、レプリカ対称性の破れ

  • 発表者 坂元 啓紀(日大理工)
  • 要旨 系の次元$d$が$4<d<6$におけるランダム磁場O($N$)スピン模型の強磁性転移について、まだ確定した共通の理解が得られていない。この模型の臨界現象が研究されていた当初、 $d$次元ランダム磁場スピン模型の臨界現象は、 $(d-2)$次元のランダムさのないスピン模型の臨界現象と等価であることが導かれていた。 $d$次元不規則系と$(d-2)$次元純粋系の間に成り立つこの対応関係は、現在ではParisi-Sourlas dimensional reductionとよばれている。

しかし近年になり、この対応関係が成り立たないという報告がいくつか現れてきた。 M{\'e}zardとYoungはランダム磁場O($N$)$\phi^4$模型の$1/N$展開による解析から、レプリカ対称な鞍点解は不安定であることを示し、したがってレプリカ対称性の破れ(RSB)を導入する必要があることを示した。そしてRSBを考慮して求めた鞍点解で臨界指数の値を数値的に計算し、 dimensional reductionが成り立たないことを示唆した。また、FisherとFeldmanはランダム磁場O($N$)非線形シグマ模型を取り扱い、 $4+\epsilon$次元における臨界現象をくりこみ群を用いて解析した。 Fisherはくりこみ変換を行うことによりランダム異方性の項が(無限個)生成されることを示し、それによって$\epsilon$の$1$次のオーダーで安定な固定点が存在せず、 dimensional reductionが成り立たないことを示唆した。 Feldmanは、Fisherが求めた固定点とは別の$\epsilon$の$1$次のオーダーの固定点を見つけだし、その固定点で数値的に臨界指数を求めた。その結果から、dimensional reductionが成り立たないことを示唆した。しかし彼らの行った研究では固定点の安定性やRSBについての考察はなく、またレプリカ対称性を仮定した上での解析であるので、 RSBとdimensional reductionの破れの関係は明らかではない。


名古屋大学 情報科学研究科 複雑系科学専攻 多自由度システム情報論講座